保険中心なのに14,000人の患者が集まる「奇跡の歯医者」になる方法【書籍紹介】
むし歯でもない健康な人々が喜んで通う歯科医院があるのをご存じですか?
香川県高松市にある「しん治歯科医院」は、保険診療である予防歯科を中心としながらも、沢山の人が自ら通い続ける歯科医院です。今回ご紹介する書籍には、そんな奇跡の歯医者さんの秘密がたっぷりと詰まっています。
本書は、しん治歯科医院の「3つの奇跡」を章立てて紹介しています。これらの奇跡が、歯医者に抱いていた「嫌な場所」「行きたくない場所」というイメージを払拭してくれるでしょう。患者さんや従業員とのショートストーリーを集めた構成となっており、すいすいと読み進められることと思います。
歯科医院の経営に携わる方にも、健康なお口で幸せに過ごしたい方にも、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
「嫌われない」という奇跡
第1章で紹介されているのは、しん治歯科医院と患者さんたちとの関わりです。タイトル通り患者さんに嫌われていないばかりか、将来はしん治歯科医院で働きたい!という子どもさんまで登場します。
冒頭でも触れた通り、歯医者に対して「嫌な場所」というイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、歯医者は間違いなく患者さんの味方です。例えば、患者さんのご家族と歯医者では、どちらの方が患者さんのお口の中のことを考えているでしょうか?家族に「歯医者さんでむし歯を治してきた」と言っても、「よかったね」の一言で終わってしまうでしょう。反対に、しん治歯科医院の歯科医師や歯科衛生士は、同じことを心から一緒に喜んでくれます。それどころか、今度は予防のため、これからのことまで一緒に考えてくれる存在なのです。
このことに気づいている患者さんも沢山います。自分のお口の健康を真剣に考えている患者さんは、10年後や30年後の健康のためにしっかりと口腔ケアをして、定期的に歯医者へ通います。しっかりできていたら、しん治歯科医院の歯科衛生士さんはちゃんと褒めてくれます。褒められたら、誰だっていい気分です。
患者さんにとって、むし歯や歯周病を治したい以前に、むし歯や歯周病にならないのが本当の幸せです。この本当の幸せを真剣に考えてくれる歯医者さんを、患者さんは嫌ったりしません。
「何度も通いたくなる」という奇跡
第2章はしん治療歯科医院へ通うのを楽しみにしている、健康な患者さんたちが中心のお話しです。また、患者さんたちの期待に応える、医院の思いや取り組みも一緒に紹介されています。
「うれしい!やっとクリーニングしてもらえる!」
こちらは最初のお話のタイトルですが、むし歯治療を終えて、次回からクリーニングで通うことになった患者さんの声です。いつも嬉しそうにクリーニングに通う他の患者さんを見て、自分がクリーニングしてもらう日をずっと楽しみにしていたそうです。
しん治歯科医院は明るく楽しい雰囲気づくりを心がけており、待合室にいる患者さんたちはそれをしっかりと感じています。その他にも、小児の患者さんの治療をアルバムにしてプレゼントしたり、歯科衛生士をあえて担当制にしなかったりと、患者さんに喜んでいただける工夫を重ねています。その根源にはスタッフ一同の「患者さんに健康であり続けてほしい」という思いがあり、どんな言葉よりもこれを伝えるよう心がけています。
「スタッフがみんな笑顔」という奇跡
最終章は、しん治療歯科医院で働くスタッフのお話です。
大きな特徴は、院長が歯科衛生士を主役と考え、その活躍を認めている点です。
しん治歯科医院は歯科衛生士の離職率が低く、多くの歯科医院が悩む採用難とは無縁の状態。その理由を一言で表すと、スタッフを大切にしているからです。これだけでは「そんなの当たり前」というのが自然な感想ですが、スタッフを大切にするためには院長先生の意識改革が必要です。
例えば、しん治歯科医院の主役は院長ではなくスタッフです。院長はスタッフを隅々まで管理するのではなく、鈍感力を大切にして、居心地が悪くなる雰囲気は決して作りません。また、スタッフが育休・産休後も当たり前に戻ってこられる環境づくり、スタッフが無料で使える保育園の開設など全てがスタッフファーストです。
スタッフが笑顔で働ける環境が明るい歯科医院を作り、同時に患者さんが通いたくなるという奇跡も起こしているのです。
まとめ
ご紹介した奇跡で、しん治療歯科医院は予防歯科を中心に沢山の患者さんが集まる歯科医院に成長しました。本書の終わりに「本当の奇跡は、患者さんだった!」と記されているとおり、予防歯科の成功には患者さん本人が健康づくりへ主体的になる必要があります。
しん治療歯科医院は、患者さん自らが口腔ケアを行う治療を「自律型」と定義づけ、リピート率の向上によって予防歯科をストック型ビジネスとしました。この経営手法は『デンタルフィットネス』と名付けられ、今では全国100医院以上が実践しています。
デンタルフィットネスの詳細については、こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、予防歯科や経営にお悩みの医院様は、ぜひご一読ください。